遺伝子組み換え技術には、批判がつきものです。身体に害があるかもしれない、とか、農薬の量を減らすために遺伝子組み換えで害虫が寄りつかない作物を作ったとしても、その作物に耐性がある新たな害虫が発生したら、結局農薬の量は減らないじゃん、とかです。そういった批判は、理にかなっていると思います。
しかし遺伝子組み換えは、自然の摂理に反しているという批判については、疑問があります。そもそも「自然」とはなんでしょうか?農薬、ハウス栽培、人工授粉は「自然」なのでしょうか?例えば、今私たちが「自然」だと思っている森のほとんどは、人によって植林されたものです。
何が自然で、何が自然でないかの議論は、すごく難しいです。
「いやいや、遺伝子を直接操作することはさすがにいけないことでしょう」と言う気持ちはすごくわかります。私も、それに対して抵抗感がありますし、なにか越えてはいけない一線を越えているという感情があります。しかし、倫理観、価値観は時代と共に変化していきます。100 年前にタブーとされていたものが、100 年後には当たり前になっているのは良くあることです。例えば、水を飲んでいると、のけ者にされた時代がありました。
私たちが目指すべきなのは、遺伝子組み換えの根絶ではなく、安全な遺伝子組み換えを普及させることなのではないでしょうか?