俺が一番だ。そう思ってた。あいつがやってくるまでは。けど、あいつはもう俺のすぐ後ろまで追いついてきた。あと少ししたら俺はあっという間に追い抜かれてしまうだろう。どうせ負け試合だ。だったら最後に一花咲かせてやろうじゃねえか!
ある技術は、いつかは廃れ、新しい技術が取って代わります。19世紀の初め、蒸気船が発明され普及していきました。それまでの風を受けて進んでいた帆船と違い、蒸気船は天候に左右されにくく、安定したスピードを出すことができます。 帆船が蒸気船に取って代わられるは時間の問題でした。そんな中、帆船は最後の進化を遂げます。 それまで蓄積されてきた技術が結集し、高速帆船(クリッパー)と呼ばれる帆船が登場しました。クリッパーは普通の帆船より縦長の細い船体となり、帆の位置を高くし、面積を2倍に広げて風の力を受けやすくしたという、とことん速さを追求した帆船でした。
当時の普通の帆船はは時速11 km 程度でしたが、クリッパーは、平均時速34 km という驚異の速さを出しました。当時のまだ速度の遅い蒸気船は、競争相手にもなりませんでした。クリッパーは、長い帆船の歴史のなかでの最後の輝きでした。このような現象を帆船効果といいます。
上の画像はカティーサーク号と呼ばれるクリッパーです。ウイスキーの名前にもなっているので、ご存じの方も多いかもしれません。下の画像のウイスキーのラベルの真ん中には、カティーサーク号が描かれています。
帆船効果は、帆船以外にも様々なもので起っていますし、これからも起っていくでしょう。現代でいえば、ガスコンロがあります。ガスコンロは今、電気を使ったコンロに取って代わられようとしています。そしてここ最近、ガスコンロの性能や使い勝手は格段に進歩しています。最後に私の妄想ですが、YouTube に取って代わられようとしているテレビが、帆船効果によって、最後に何かやってくれるんじゃないの?と思ったりしています。