北海道でジャガイモがとれました。飛行機でジャガイモを日本各地に届けます。しかし運ぶ途中でジャガイモから芽が出てしまうと大変です。芽には人間にとっての毒素が含まれていることもあり、ジャガイモは売り物にならなくなっていしまいます。ということで、放射線を照射します。
じゃがいもの一部には芽が出ないように放射線の一種である γ(ガンマ)線が照射されています。芽の組織を破壊することによって細胞分裂を防いでいます。γ(ガンマ)線の照射は、食品の滅菌にも使われています。サルモネラ菌などによる食中毒を防止するためです。 薬品を使った滅菌では食品に薬品が残ったり、食品が変質してしまう恐れがあります。一方、滅菌で使用される γ 線のエネルギー量では、そのようなことは起きません。その面では薬品による殺虫、滅菌より安全です。
加熱滅菌は、一番安全かもしれませんが、食品の風味が損なわれてしまうことが多いです。 外国では、香辛料の多くは γ 線で滅菌されています。γ 線を使うと、スパイスやハーブの色や香りを損ねることなく殺菌できます。スパイス・ハーブ類の照射は EU でも認可・実施されています。※1
香辛料の照射滅菌が認可されていないのは先進国では、日本くらいだそうです。理由は、日本人は放射線という言葉に抵抗があるので、現在の日本では国内での γ 線の食品への照射はジャガイモにのみ使われています。
牛挽肉や鶏肉、冷凍エビの滅菌などにも使われています。放射線による滅菌は内部まで確実に、非加熱で行うことができるので、凍ったままの食品でも処理することができます。※1 他にも、身近なところでは、病院で使われる使い捨ての注射針が γ 線で滅菌されていたりします。先ほども申しましたが、照射によって食品が放射化したり、変質したりすることはありません。しかし、照射後は念入りな検査が行なわれています。被曝量が多ければ人体に障害を与える放射線ですが、ものは使いようですね。