オーストリア出身のディートリヒ・マテシッツは、LUX(ラックス)Dove(ダヴ)、LIPTON(リプトン)などのブランドを持つユニリーバに勤めていました。給料はかなり良かったのですが、マネージャーとして多忙な生活を送っており、業績の重圧が重くのしかかっていました。そんな中、1982 年に香港への出張に行った際に、雑誌「ニューズウィーク」に掲載されていた日本の高額納税者リストに大正製薬の経営者の名前があるのを発見しました。大正製薬は、リポビタン D という飲料を製造しており、日本のみならず、東南アジアにも進出していました。
リポビタン D は、滋養強壮成分といわれていたタウリンが入っていることを謳っていました。第 2 次世界大戦中、日本は兵士の体力回復を目的に、全国のタコの加工工場から、タコの煮汁を回収してタウリンを調達していたそうです。タウリンは、イカ、タコに多く含まれています。これを見たマテシッツは、当時世界第2位の経済大国(1位はアメリカ)であった日本で、栄養ドリンクによって高額納税者になることができるという事実に驚きました。
そこから彼はエナジードリンクの事業構想を思いつき、リポビタン D の味を欧米の人々好みに改良したレッドブルを発売します。今ではレッドブルは、リポビタン D を抜き、世界中で販売されています。