細菌とウイルスの一番の違いは、その増殖方法です。 細菌は細胞を持つので、自身のみで増殖できます。一方、ウイルスは細胞ではないため、自力では増殖できず、他の細胞に入り込むことにより、はじめて増殖できます。ウイルスが細胞の中に入ってから増殖して細胞の外に出てくるまでの間には、まるでウイルスが存在しないように見える時期があります。この時期は暗黒期(eclipse:エクリプス)や潜伏期とよばれ、期間はウイルスや宿主細胞の種類にもよりますが、数時間から十数時間です。
この時に何が起っているかというと、細胞の中で親のウイルス粒子がいったんバラバラになっており、子供のウイルス粒子を組み立てています。 なのでウイルスに暴露したり感染した場合、翌日にどんなに感度の高い遺伝子増幅検査(PCR 法や LAMP 法など)をしてもウイルス遺伝子を検出できる可能性は極めて低いです。その後、増殖した子供のウイルスが細胞から放出されてから、ウイルスは検出できるようになります。ここからウイルスは爆発的に増えていきます。まさに、嵐の前の静けさですね。