「植物油脂」って何から取ってるの?
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「植物油脂」って何から取ってるの?

2023/6/3

ポテトチップス、チョコレート、アイスクリーム、カップ麺、カレールウなどなど、多くの加工食品の原材料に「植物油脂」が使われています。この「植物油脂」はほとんどは「パーム油」です。パーム油とは、アブラヤシの果実の果肉部分から採油した油脂のことです。

大豆油や菜種油を使用していれば、パーム油に比べて格段に高価であるため、その旨を堂々と表示するはずです。なので「植物油脂」のほとんどはパーム油と考えられます。

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豚や牛の動物性油脂と違って、パーム油は植物油脂と表記されており健康に良さそうな気がしますが、そうとも言えません。パーム油は他の植物油脂と異なり、血中のコレステロールを増加させると言われる飽和脂肪酸がラードや牛脂以上に高い割合を占める、変わった植物油脂です。しかし、こういったのパーム油の悪いイメージは、パーム油と競合する大豆油の地位を守るためにアメリカの大豆協会が 1980 年代後半以降に仕掛けたネガティブキャンペーンの影響もあるようです。

パーム油の主な用途は、先ほど述べた食品用、石けん洗剤、そしてディーゼル燃料の 3 つです。パーム油のディーゼル燃料は、石油に変わる植物由来の燃料として注目を集めています。また石鹸はかつて動物の脂肪から作られましたが、いまではココナッツやアブラヤシ油が原料になっています。そして、一番使われているのは、食品用です。パーム油は世界で最も生産されている植物油です。

パーム油がこれほどまでに増えた理由は主に 2 つあります。1 つめは、安さです。アブラヤシは 1 年を通して実をつけるので、大豆油やなたね油と比べて 8 ~ 10 倍もの生産が可能です。他の油と比べて同じ作付け面積でも生産量が多いので、価格も安くなります。2 つめは、パーム油の使い勝手の良さです。パーム油は飽和脂肪酸と不飽和脂肪酸の含む割合が近いために、液体の油、固体の油のどちらにも加工しやすいのです。動物性油脂には飽和脂肪酸が多く含まれ、常温で固体になります。植物油脂には不飽和脂肪酸が多く含まれ、常温で液体になります。

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アブラヤシは熱帯地方でしか栽培できないので、主にマレーシアやインドネシア、パプアニューギニアなどで栽培されます。パーム油の世界的な需要により、これらの地域の熱帯雨林が膨大な規模で開発され、アブラヤシのプランテーションに変わっています。今後も、パーム油の需要は年々増えていくとされています。森林伐採、現地の人の労働問題、熱帯雨林に生息する動物の減少など、課題は山積みです。

参考資料

  • 図説 世界史を変えた 50 の植物 ---ビル ローズ (著)、柴田 譲治 (翻訳) ---2012
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