ボトックス注射の真実:毒を利用した美と医療
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ボトックス注射の真実:毒を利用した美と医療

2023/4/6

ボトックス注射って聞いたことありますよね? 美容整形手術で、眉間や目尻のしわとりをするのに使われるのが有名です。また、筋肉が緊張してしまう病気の治療にも使われます。このボトックス注射は、毒を注射しています。毒の名前は、ボツリヌス菌がつくるボツリヌストキシンと呼ばれるタンパク質毒素です。ボツリヌス菌は食中毒の原因菌として知られており、土や海、湖、川などの泥や砂のなかに生息しています。ボツリヌストキシンは極めて毒性が強いことでも有名で、神経や筋肉の麻痺を起こします。人がボツリヌス菌の食中毒にかかると最悪の場合、呼吸麻痺が起り、死んでしまいます。

ボツリヌストキシンは神経に取り込まれて、その筋肉をマヒさせることで食中毒を起こしますが、その性質を医療に応用したのがボトックス注射です。 筋肉をマヒさせるということは、言い方を変えれば、注射された筋肉を脱力させて緩める効果があるともいえます。 ボツリヌストキシンを、固くなってしまった筋肉に直接注射することで、筋肉の硬直を止めることができます。また、痙攣してしまっている筋肉にも効果があります。

美容整形においては、主にしわ取りに使われます。笑ったときにしわが出来るのは、表情筋が伸び縮みしているからです。その表情筋をマヒさせることによって、しわを取ります。ボトックス注射でしわ取りをすると、笑ったときなどに無表情に見えてしまうこともあるので、やりすぎには注意をしましょう。医療現場では、微量を用いるため、用量設定を誤らない限りにおいては安全だそうです。毒も、使いようによっては薬となるんだな、と思いました。

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