16 世紀、「太陽の沈まない帝国」と呼ばれ世界で最も豊かな国であったスペイン帝国は、なぜ没落したのでしょうか。その理由と言われているものはいくつかありますが、今回はそのうちの一つを紹介します。それは、新大陸からの金に頼り切りだったからです。
大航海時代、スペインはメキシコなどの南アメリカを占領し植民地とし、そこから金銀を奪いました。そして新大陸から運んでくる金や銀を資金にして、戦争をしていました。元々スペインは羊毛などを使った毛織物工業が盛んでしたが、南アメリカで金や銀が発見されて以後は、ほとんど金や銀に頼るようになってしまいました。当時のスペインは、王室の財政悪化や海軍への出費でかなり貧乏になっていましたが、「まあ、今は新大陸からお金が入ってくるからそっちに頼っておこう」という状況が続きました。
そして、とうとう新大陸の金銀がそこを尽きた時には、手遅れでした。スペイン国内には強い産業が残っておらず、オランダやイングランド戦争や武力衝突にも敗れてしまい、国家は衰えていったということです。一方イギリス、フランス、オランダなどは、スペインのように有限の資源を略奪するのではなく、天然資源の活用、通称網を活用して貿易や商業で実力を付けていきました。
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