古代ヨーロッパでは、多くの人がミルクは空腹時に飲むべきだと考えていました。理由は、胃の中の食べものによってミルクが固まってしまい危険だからです。ローマ帝国時代のギリシャの医学者であるガレノスは、この考えを広めた人物の 1 人で、
ミルクが固まることを防ぐために、新鮮なミルクにハチミツや塩やミントを混ぜて飲んだほうがいい
-- ガレノス
と言っています。彼は中世の多くの料理研究家や医学者に影響を与えました。中世の料理研究家であるプラティナは、
食後にミルクを飲むことは、胃の中でミルクがすぐに傷んでしまうし、まだ消化されていない食物を胃の底へ運んでしまうから、良くない。胃の中で振動によって腐って酸っぱくならないように、飲んだあとは静かにしていること。
-- プラティナ
と書き残しています。 実際私たちがミルクを飲むと、胃の中で腐ることはありませんが、固まるというのは間違いではないようです。ミルクは胃酸と混ざって、水分とたんぱく質を含んだ固形物に分解されるので、ミルクは自然と胃の中で固まって消化されることが、現代では分かっています。彼らが、胃の中で牛乳が固まると思った理由のひとつは、バターは牛乳を振って作るものだから、だとも思いました。