昔は、どのような方法で霊や未知なるものと交信していたのでしょうか。初期のアンデス族の呪術師は、いろいろな動物や植物の神経毒を使って、霊と交信しているような感覚を起こしていたことが分かっています。動物では、貝に含まれる神経毒があります。地域によっては、毎年決まった時期に、毒素を含む藻類が繁殖し海を真っ赤に染めることがあります。赤潮です。
その毒素は、藻類を食べる貝に溜まるので、赤潮が発生すると貝はしばらくの間、毒化します。その貝を人が食べると中毒症状によって、痺れ、めまい、空を飛んでいるような気分、などが引き起こされ、多量に摂ると死んでしまいます。
また、ヒキガエルの頭の後ろから分泌される液体を食べてしまうと、幻覚、嘔吐や下痢、心臓発作などが引き起こされ、最悪の場合は死にいたります。
植物では、コカの木が有名です。葉には麻薬成分のコカインを含んでおり、います。コカの木は怪我をしたときにに唾液と混ぜて局所麻酔薬として使っていた可能性もあります。
「幻覚」とか、「空を飛んでいるような気分」って、どんな感じでしょうか。あきらかに精神の錯乱の症状ですが、ちょっと体験してみたい気もします。古代の、科学が発展していない時代に呪術師の儀式の中で精神が錯乱したら、本当に霊と交信している、と思ってしまいますよね。古代アンデスの呪術師はこのような自然界にある毒素の性質、適量などを感覚的に理解し、使いこなしていたのでしょうか。
p107