兄弟げんかは、いつも絶えません。特に 2 人でケーキを分けるときなんかは、「僕の方が小さい!」「お兄ちゃんの方が大きい!」と、大変です。そんなときに互いに文句を言わせないで二等分する方法があります。太郎くんが切って、花子さんが選ぶ方式です(わたしが切って、あなたが選ぶ方式とも言えます)。この分け方をした後に、太郎くんが文句を言ったら「あなたの切り方が悪かった」と言えるし、花子さんが文句を言ったら、「あなたの選び方が悪かった」と言えます。兄弟のお子さんをお持ちの方は、試してみてはいかがでしょうか?
3 人で分けるときに全員に文句を言わせない方法は、少しややこしくなります。
ステップ 1
トムがケーキを二つの部分 X と Y に分ける。ここで、トムの基準で、X の価値は全体の 1/3、 W は 2/3 とする。
ステップ 2
ディックは X を見て、その価値が 1/3 を超えると思うなら、ちょうど 1/3 になるように削る。価値が 1/3 以下だと思うなら、何もしない。削られたあとの X、または、削られなかったときの X そのものを、 X*とする。
ステップ 3
ハリーは X*を見て、その価値が 1/3 以上と思うなら取り、1/3 未満と思うなら取らない。
ステップ 4
- (a)もしもハリーが Xを取ったら、トムとディックは残りのケーキ、つまり、X が削られなかった場合には W そのもの、Xが削られた場合には、その切りくずにしか見えないかもしれない部分と W を合わせたものを一つのケーキと考え、「わたしが切って、あなたが選ぶ」手順を踏む。
- (b)もしもハリーが Xを取らず、かつ、ディックが X を削っていたら、ディックが Xを取る。そして、残りのケーキに対して、トムとハリーが「わたしが切って、あなたが選ぶ」手順を踏む。
- (c)もしもハリーが X*を取らず、かつ、ディックが X を削っていなかったら、 トムが X を取る。そして、残りのケーキに対して、ディックとハリーが「わたしが切って、あなたが選ぶ」手順を踏む。
『分ける・詰め込む・塗り分ける―読んで身につく数学的思考法』 P19 より 「削る」という方法はなるほど、って感じですね。
3 人で分ける方法には、他にも色々なものがあります。また、この方法を応用すれば、4 人以上でも分けることが出来ます。
詳しく知りたい方は『分ける・詰め込む・塗り分ける―読んで身につく数学的思考法』をご覧下さい。
ケーキを文句を言わせずに分ける方法は、おやつの時間だけでなく遺産の分配や、領土問題にも使えます。現実には、もっと複雑な事情がからんでくるので、必ずしもこの方法で全てが解決するとは限りませんが。