象牙の歴史とプラスチックの台頭: 環境、経済、文化の交差点
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象牙の歴史とプラスチックの台頭: 環境、経済、文化の交差点

2023/7/15

象牙はその名の通り、象の牙です。美しいクリーム色で加工もしやすいため、装飾品などの材料として人気の素材です。象牙は印鑑や三味線、ピアノの白鍵などにも加工されてきました。英語圏では「アイボリー」と呼ばれます。 高度経済成長期の日本は、高給のサラリーマンが増えたので、高値で取引される象牙の輸入大国となりました。また、日本の印鑑文化も輸入を助長しました。象牙は朱肉が染みこみやすく、印鑑の高級材料らしいです。象牙の需要が増えるにつれて、アフリカなどで象が乱獲され、個体数が減少し世界的な問題となりました。国際的な象牙の取引は 1989 年のワシントン条約から違法となっています。そして 1996 年、セルロイドが象牙の代替品として開発されました。セルロイドは天然原料からつくられる、プラスチックの一種です。 20 世紀前半には生活用品等に多く使われましたが、とても燃えやすく、危険な素材でもありました。

セルロイド工場では素材の自己反応性による発火が、しばしば火災の原因となった。映画の初期作品(1950 年代まで)はセルロイドをベースとしたフィルムで記録されており、映画館ではフィルム照明のアーク灯や電球の高温や摩擦によりセルロイドフィルムが発火するなどの事故も起きた。可燃性でフィルム自体が劣化しやすいセルロイドの特性は、フィルム原本の保管を基本とするフィルム保管施設の作品の長期アーカイブ上の課題となっている。

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現在は、人工原料から作られた燃えにくいプラスチックが開発され、セルロイドはほとんど生産されていません。一方で、象牙は現在も密輸され続けています。アフリカの現地では、象が人と接触して人を殺してしまう事件が起ったり、象が農作物を荒らしたりすることがあるらしく、地元の人々は象を殺すことに賛成しているようです。事情は複雑ですね。また、今の象は、象牙がなかったり短かったりする個体の割合が多いらしいです。象牙目当ての人間に殺されなかった象が子孫を残していった結果だといわれています。これも進化といえば進化なんですけどね。

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