「今の花粉シーズンは 30 年前より 3 週間ほど長く、空気中の花粉は 20%ほど多くなっています」
と、耳鼻咽喉科の専門医でジョージ・ワシントン大学の気候健康研究所の共同ディレクターであるニール・タンマラ博士は述べています。この統計は 2021 年に発表された研究によるものです。近年、世界中で気候変動によって花粉が飛散する時期が長くなり、花粉症の症状が長く続いています。地球の核心温度が上昇するにつれ、地面の雪解けが早まり、樹木が冬の眠りから覚め、開花や花粉の飛散が早まるとニールは言います。また、二酸化炭素濃度が上がると、草木はより多くの花粉を生産することが分かっています。
日本では戦後、自然林を伐採して植林されたスギやヒノキは、30 年以上にわたって多くの日本に住む人々に花粉症の被害をもたらしてきました。花粉の少ない苗木の生産は、近年増加の傾向にありますが、現在でもその生産量は全体の 5 割にしか達していません。今後、植林されるすべての苗木を花粉の少ないものに切り替えたとしても、昨年植えられた苗木が伐採されるまでの 50 年間は花粉症の被害は続きます。