裏裏裏裏裏裏裏裏の次は表が出るの?
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裏裏裏裏裏裏裏裏の次は表が出るの?

2023/7/20

コインに記憶はない

コインを投げ続けると、裏と表が出る確率は半分半分です。

では、問題です!

コインを投げ続けたとき、

  1. 裏裏裏裏裏裏裏裏裏裏
  2. 表表裏表表裏表表表裏
  3. 裏表裏表裏表裏表裏表 どのパターンが一番出やすいでしょうか? 読み進める前に、考えてみて下さい。

答えは、どの確率も同じです。

次の問題です。

裏裏裏裏裏裏裏裏 のように、裏が 10 回連続で出たとします。次は表と裏どちらが出やすいでしょう?

答えは、表と裏のどちらも同じ確率で出るです。

この 2 つの問題の正しい答えは、直感に反します。なんとなく、今のところコインの表が多く出ているから、そのうち裏が出て平均を保とうとしてくれる感じがします。しかしコインには記憶がないので、過去にどう動いたかは覚えていません。直前に 100 回連続で裏が出たとしても、次に投げたコインの表と裏の出る確率は同じになります。

偏りは目立たなくなっていく

じゃあ、50%の確率ってうそじゃん!と言いたくなります。

しかし、うそではありません。例えば、コインを 10 回投げて、裏表裏裏裏裏裏裏裏裏だったら、表と裏の比率は 9:1 です。

では、10000 回コインを投げた後に、コインを 10 回投げて裏表裏裏裏裏裏裏裏裏と出たとしたら、10000 回コインを投げた時の裏と表の平均は約 5000 対 5000 なので、表と裏の比率は 5009:5001 となります。

さっきの 10 回投げたときの偏りが目立たなくなりました。

このように、投げる回数を増やせば増やすほど、偏りが目立たなくなり、裏と表の比率は 50%に近づいていきます。確率が 50%に近づいていくというのは、このことを示しています。

いつ止めるかで結果が違う

コインをずーっと長く投げつづけていれば、表と裏の出た回数の差が 0 になるときは必ず来ます。

そして、同じように、コインをずーっと長く投げつづけていれば、表が裏よりも 10 万回多く出た状況でさえ、必ず起こるのです。(ここでいう、「ずーっと長く投げつづける」とは、1 億、1兆、より何桁も上の回数かもしれません。)

表と裏の出た回数の差が 0 になったときに「やっぱりいつかは差は 0 になるんだ!」といって投げるのをやめると、望んだ結果は得られますが、それは望みの状況がたまたま得られたとき、やめているのにすぎません。

差がいくつの状況もかならず起こり、差のない状況もその一つなのだ!つまるところ、「いつ」やめるかによって、印象は大きく左右される。

-- 『分ける・詰め込む・塗り分ける―読んで身につく数学的思考法』

もし表が裏よりも 10 万回多く出たときに投げるのをやめたら「え?このコインおかしいんじゃないか?」と思うかもしれませんが、こういうことは普通に起るのです。

参考資料

  • 分ける・詰め込む・塗り分ける―読んで身につく数学的思考法 ---イアン スチュアート (著)  伊藤 文英 (翻訳) ---2008
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