コインを投げ続けると、裏と表が出る確率は半分半分です。
では、問題です!
コインを投げ続けたとき、
答えは、どの確率も同じです。
次の問題です。
裏裏裏裏裏裏裏裏 のように、裏が 10 回連続で出たとします。次は表と裏どちらが出やすいでしょう?
答えは、表と裏のどちらも同じ確率で出るです。
この 2 つの問題の正しい答えは、直感に反します。なんとなく、今のところコインの表が多く出ているから、そのうち裏が出て平均を保とうとしてくれる感じがします。しかしコインには記憶がないので、過去にどう動いたかは覚えていません。直前に 100 回連続で裏が出たとしても、次に投げたコインの表と裏の出る確率は同じになります。
じゃあ、50%の確率ってうそじゃん!と言いたくなります。
しかし、うそではありません。例えば、コインを 10 回投げて、裏表裏裏裏裏裏裏裏裏だったら、表と裏の比率は 9:1 です。
では、10000 回コインを投げた後に、コインを 10 回投げて裏表裏裏裏裏裏裏裏裏と出たとしたら、10000 回コインを投げた時の裏と表の平均は約 5000 対 5000 なので、表と裏の比率は 5009:5001 となります。
さっきの 10 回投げたときの偏りが目立たなくなりました。
このように、投げる回数を増やせば増やすほど、偏りが目立たなくなり、裏と表の比率は 50%に近づいていきます。確率が 50%に近づいていくというのは、このことを示しています。
コインをずーっと長く投げつづけていれば、表と裏の出た回数の差が 0 になるときは必ず来ます。
そして、同じように、コインをずーっと長く投げつづけていれば、表が裏よりも 10 万回多く出た状況でさえ、必ず起こるのです。(ここでいう、「ずーっと長く投げつづける」とは、1 億、1兆、より何桁も上の回数かもしれません。)
表と裏の出た回数の差が 0 になったときに「やっぱりいつかは差は 0 になるんだ!」といって投げるのをやめると、望んだ結果は得られますが、それは望みの状況がたまたま得られたとき、やめているのにすぎません。
差がいくつの状況もかならず起こり、差のない状況もその一つなのだ!つまるところ、「いつ」やめるかによって、印象は大きく左右される。
-- 『分ける・詰め込む・塗り分ける―読んで身につく数学的思考法』
もし表が裏よりも 10 万回多く出たときに投げるのをやめたら「え?このコインおかしいんじゃないか?」と思うかもしれませんが、こういうことは普通に起るのです。