ヘンリー湖を見ました。ブラックミラーの中でも、3 本の指に入るくらい好きなエピソードになりました。
※ネタバレなので、ご注意ください。
解説します。
ピアが犯罪の証拠映像を見ているときに、義母から「パイが焼けたわよ」と声がかかります。振り返ると、すでにドアが開いており、義母が部屋の中に入っている、というシーンですが、
現実だったら部屋の外から声がかかりドアが開くまで時間があるので、その間に PC を閉じる時間があります。よって証拠映像を見てしまったことは義母にはばれていないことがわかります。しかし、映像の演出として、視聴者に「もしかして今、殺人の証拠を見てることがバレた?」という印象を与えてハラハラさせるために、わざと現実では起こるであろうドアを開けるシーンをカットしています。この演出により不気味さが際立っています。
また、ポテトマフィンをきれいに整えるのが世界一怖く感じるシーンが印象的でした。殺人犯が、何かをとても丁寧に整えているというのは、とても怖いです。しかも、このあと、ピアはこのパイを食べなければならないのです。
叔母が自殺をする前に鏡越しにお面をつけるところで、肘で隠してから見せるという演出がすごいです。カット割りをしたり、カメラを動かしたりせずに、変身の様子がわかります。
このドラマは「母なる証明」と共通する部分があると思います。どんな状況になっても愛する息子を助ける、というテーマです。
家から逃げたピアを叔母が追ってくるシーンで、凶器ではなくライトだけを持ってきたのが、新鮮でよかったです。殺人犯が追ってくる時には、たいてい凶器を持っています(それはそれでものすごく怖いのですが)。愛する息子の恋人なのでもしかしたら、害を加えずに話し合い?たかっただけなのかもしれません。
最後にオスカーのマスクがあるが、これは映画産業も、殺人を楽しんでいる犯人と動機は変わらないのでは?というメッセージだと感じました。
殺人などの事件を楽しんでいる=殺人犯
・殺人などの事件を扱ったドキュメンタリーを作って儲けている=映画産業
・殺人などの事件を扱ったドキュメンタリーを見て楽しんでいる=観客
・観客も含めて、彼の母親とというメッセージだと感じた。
殺人犯が被っていた仮面
映画賞のトロフィーの仮面