日本に輸入バターがほとんど売ってないのはなぜ?
画像: Sorin Gheorghita via Unsplash

日本に輸入バターがほとんど売ってないのはなぜ?

2023/10/9

日本では、海外からの輸入バターがほとんど販売されていません。一般的なスーパーマーケットや食料品店で、外国産のバターを見つけるのは非常に難しいです。この現象の背後には、国の保護政策が大きく関わっています。

日本の農産物は、高い関税を通じて保護されています。バターに関しては、溶かすと還元乳として牛乳になるため、市場にバターが過剰に流通すると牛乳の価格が下がってしまいます。この点が輸入制限の大きな要因となっています。日本の農業団体は政策に強い影響力を持ち、自らの利益を守るために輸入の制限や国内生産の保護を強く求めています。これが、日本でバターの関税が高く設定されている背景です。

輸入しすぎて、国内の牛乳・乳製品需給が緩和すると、酪農団体と乳業メーカーとの乳価交渉に影響を与える。 酪農団体の交渉ポジションが悪くなると、その原因を作った農林水産省の責任が問われる。自民党農林族からの評価が下がると、省内の出世に響く。また、酪農界から需給回復のための追加の対策を講じるよう要求されると、財政当局との関係もおかしくなる。このようなことを考えると、輸入は抑制されたものとなる。

-- バターが買えない不都合な真実 p203

また、著者は、農林水産省に勤めていた経験があり、その時に、上司から、以下のようなことを教わったと述べています。

私が農林水産省に入った頃、大幹部から教わったことがある。「少し足りないくらいが一番良い。余るのは最悪だ」。米の生産が減少すると、農協が喜ぶのも同じである。農産物が余り、 価格が下がると、消費者は喜ぶかもしれないが、生産者に影響を与える。生産者優先の農林水 産省としては、好ましくないのである。

-- バターが買えない不都合な真実 p205

よく言う、民衆は生かさず殺さず、の状態が一番良いということですね。

このような保護政策により、国内市場の競争力の低下や技術革新の遅れ、そして消費者の選択肢が制限されています。

例えば、輸入バターが増えれば、消費者はより多様な製品から選ぶことができ、価格も競争により適正化されるかもしれません。一方で、国内の酪農業者は、外国産の製品と競合することで、より効率的な生産や品質向上を追求するようになります。

参考資料

  • バターが買えない不都合な真実 ---山下 一仁 ---2016
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