結婚指輪はなぜ左手にはめるのでしょうか?それは、心臓が人体の左側にあるからです。大昔、左手の薬指からは、心臓まで一本の血管が通ってつながっていると考えられていました。西暦 400 年頃のローマから伝わった信念で、この信念によって、現在まで、結婚指輪を左手にはめる風習が根付きました。
他にも、心臓が左側にあることから生まれた信念があります。左の乳から出る母乳には栄養がたくさん入っている、というものです。古代ヨーロッパでは、母乳は、血液が胸に移動するときに白く変化したものだと考えられていました。心臓により近い左の乳の方が、右の乳よりも栄養があると思われたのでしょう。「母乳は、甘くして清められた血であり、精液は泡状にホイップされた血である」 と、初期キリスト教の神学者であるアレクサンドリアのクレメンスは言ったそうです。この信念から、子供に授乳をしている絵画の中では、たいてい左の乳から授乳しています。
中世ヨーロッパの結婚と家族 (講談社学術文庫) ジョゼフ・ギース 、フランシス・ギース (著)、栗原 泉 (翻訳)